昭和50年(1975年)に廃止された木曾森林鉄道・王滝線で活躍していた車両を、王滝村では松原公園と滝越水公園に分散して展示保存していました。しかし、貴重な産業遺産であるにも関わらず、充分なメンテナンスが行われていないため車両の痛みは激しく、そのまま置かれていれば風化の一途を辿る恐れがありました。
「りんてつ倶楽部」は、「こうした地域の遺産は、飾っておくだけではなくちゃんと動いてこそ価値がある。できるだけ当時の形で復元したい」という想いから平成2年(1990年)、これらの車両のレストア(復元整備)を行いたい旨を、管理者である王滝村の教育委員会に申し入れ、賛同をいただいたことが現在の活動のきっかけとなりました。そして翌平成3年(1991年)、まず痛みの激しかった5t機関車の復元・保存の本格的な活動が始まったのです。以来、現在までに5tディーゼル機関車132号機、1.5tモーターカー4号機等を運転可能なレベルまで復元し動態保存しており、今後もこれらのメンテナンスおよび他の車両の復元整備も順次行っていこうと考えています。
こうした「りんてつ倶楽部」による王滝森林鉄道の復元活動は、平成11年(2005年)に王滝村公民館祭り(村民文化祭)のイベントとして始まった「森林鉄道フェスティバル」を皮切りに、毎年、復元車両の体験乗車会を行っています。当初は、敷設レールも10m~20mという距離でしたが、現在では約1kmの往復軌道を運行しています。その昔、王滝村の地を走った車両に乗り往時を懐かしんだり、村の歴史を伝えるものとして来訪者や子供たちに夢を届けたり、それぞれの立場で村の貴重な産業遺産を体験していただいています。
松原スポーツ公園の動態保存車両
ディーゼル機関車132号機/ディーゼル機関車142号機/モーターカー4号機/関西電力のモーターカー/小型B型客車/砂利運搬車/運材台車
私たちが復元している車両は、約半世紀前に使われていたもので、すでに部品がないものもあり、車両を酷使すれば寿命が短くなります。王滝村では、「森林鉄道フェスティバル」など年に数回の体験乗車会を開催していますが、車輌の調子により予定が変更になることもあります。